ロシアンティーを一杯

あくまで個人の意見です

前進11月16日 論評

「トランプ打倒!次は菅だ」

 

という見出しだがトランプを打倒したから労働者階級の勝利か、と言われると決してそうではない。民主党政権になったところでむしろ米帝の性格は何も変わらない。トランプ個人を打倒したところで資本家階級全体にとっては大した打撃にはならないことは明らかだ。

 

ブルジョワ国家はそのまま残存するし、それを受け継いだバイデンもまた、ブルジョワ独裁権力を大いに振るうことであろう。現に、前政権時代のオバマも、人の良さそうな顔をしておきながら、実際にはパキスタンリビアやシリアで多くの人民を虐殺した。それでいてノーベル「平和」賞を受賞とはなんとも荒唐無稽な国際社会だ。労働者階級にとって真の勝利とはブルジョワ普通選挙での勝利ではない。

普通選挙権は労働者階級の成熟の測度計である。それは、今日の国家ではそれ以上のものとはなりえないし、またけっしてならないであろう。しかし、それだけで十分である。」(「家族、私有財産および国家の起源」より)

 とカール・マルクスも評しているように、ブルジョワ普通選挙はただただ、労働者階級の政治的成熟のパロメーターであり、かつ政治的訓練の一環に過ぎない。

労働者階級は真の勝利を得るためには、ブルジョワ民主主義下での政権奪取というカウツキー主義によって立つのではなく、暴力によるブルジョワ国家の揚棄とプロレタリア国家の確立が必須なのである。これは無論前進編集員も「民主党バイデン政権下で階級矛盾・階級対立はますます先鋭化する。(ママ)」と評しているように、自明のことであろうと思う。これは強いて言うならばあくまで小さな勝利にすぎない。こうした目先の小さな勝利に一喜一憂するのではなく、階級全体の団結を深めるということにもっと目を向けてもらいらい。

すなわちバイデンを支持しなかった地方の農民層は今回の選挙で「敗北」した側であるということを見落としてはならない。都市と農村の対立は共産党宣言の時代から言及されていた問題であり、この矛盾は未だに解決されていない。この矛盾を解決し、都市労働者と農民の労農連帯がなった時、はじめて革命への戦端が切り開かれると言っても過言ではない。

日本の都市と農村の対立は今や少子高齢化により頂点に達しつつある中で、農民の階級的決戦である三里塚闘争が今も生き生きと闘われている。三里塚闘争こそ労農連帯の最前線であり、国際労働運動の模範とするべき姿なのである。しかし未だこの運動が共産主義運動のヘゲモニーを取っているとはいい難い。さらなる前進を勝ち取るべく、労働者階級は断固とした態度で階級闘争を戦い抜かなければならない。